「売れない営業マン」がマニュアル1冊で月商3倍になった話——営業標準化の逆転発想
なぜ、あなたの営業は刺さらないのか。
答えは意外なところにある。「話し方が悪い」でも「商品力が弱い」でもない。あなたの営業には”再現性”がないのだ。
プロローグ:天才営業マンという幻想
ある会社に、圧倒的な成約率を誇る営業マン・田中さんがいた。
彼のトークは流れるように美しく、どんな難しい客も気づけば笑顔でサインしていた。上司も同僚も「田中さんは天才だから」と口を揃えた。
しかし田中さんが転職した途端、チームの売上は半分以下に崩落した。
ここに、現代営業の最大の病がある。属人化という名の時限爆弾。
なぜ成約率は上がらないのか——3つの本当の原因
① 「なんとなく営業」をしている
多くの営業マンは、商談の入口と出口だけを意識して、中身を「空気感」で埋めている。
「雰囲気がよかったのに、なぜか決まらなかった」
その”なぜか”の正体は、顧客の頭の中に決断を妨げる未解決の疑問が残っているからだ。それに気づけないのは、自分の言葉のどこに穴があるか、客観視する仕組みを持っていないからである。
② 成功体験を「言語化」していない
トップ営業マンの頭の中には、膨大な暗黙知が詰まっている。だがそれは本人にとって「当たり前すぎて」言葉にされない。
「空気を読む」「タイミングを見計らう」——こうした感覚知を可視化しない限り、チームには永遠に伝わらない。
③ マニュアルを「作る目的」を間違えている
「マニュアルを作れ」と言われた多くの会社が、分厚いPDFを作って終わりにする。そしてそれは誰にも読まれないまま共有フォルダに眠る。
マニュアルは管理のためではない。営業マンが「考える余白」を作るためのツールだ。
水平思考が解く:営業をレシピ化せよ
ここで発想を180度転換してほしい。
料理人の世界では、三ツ星シェフのレシピを新人が再現できる。なぜか。工程・分量・火加減がすべて「言語化」されているからだ。
営業も同じ構造にできる。
顧客が「YES」を言うまでの感情の動きには、実は一定のパターンがある。それを解剖し、言語化し、誰でも再現できる「営業レシピ」に落とし込む——これが営業標準化の本質だ。
具体的解決策:成約率を上げる「営業マニュアル」の作り方5ステップ
STEP 1|トップ営業マンの商談を「実況中継」する
録音・録画を活用し、成約した商談を一字一句書き起こす。そこから「転換点」を探せ。顧客の表情や声のトーンが変わった瞬間、それが黄金の分岐点だ。
STEP 2|顧客の「反論」を全部リスト化する
「高い」「今は時期じゃない」「上司に聞かないと」——これらはすべて予測可能な反論だ。トップ営業マンがどう切り返しているかを言語化し、反論対応集として整理する。
STEP 3|感情の地図を描く
顧客が購買に至るまでの心理プロセスを図にする。「無関心→興味→比較→不安→納得→決断」この各ステージで何を言うべきかを定義することで、営業マンは地図を持って商談に臨める。
STEP 4|マニュアルは「問い」で構成する
良いマニュアルは答えを書かない。「この場面で顧客が黙ったとき、あなたはどうするか?」 こうした問いを散りばめることで、営業マンは自分で考える筋肉をつける。答えを与えるマニュアルは思考を停止させ、問いを与えるマニュアルは思考を加速させる。
STEP 5|週次で「アップデート」する仕組みを作る
マニュアルは生き物だ。市場は変わり、顧客の価値観は変わり、競合も変わる。週に一度、チームで「今週の失注原因」と「今週の成約の決め手」を共有し、マニュアルに反映させる。これにより、組織の学習スピードが個人の成長速度を超える。
エピローグ:マニュアルは「自由」への地図だ
「マニュアル通りにやったら個性が死ぬ」という声を聞く。
しかしプロのジャズミュージシャンは、基礎理論を完全に習得した上で即興演奏をする。土台があるからこそ、自由に飛べる。
営業も同じだ。標準化は、型破りのための「型」を作る行為に他ならない。
売れない営業マンをなくすのは、カリスマ研修講師でも高額な営業ツールでもない。チームの知恵を結晶化した、たった一冊のマニュアルだ。
さあ、あなたの会社の「黄金の営業レシピ」を書き始めよう。
この記事があなたの営業チームに、一つでも新しい視点を与えられたなら幸いです。