「営業のPDCA、回しているのに成約率が上がらない」

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「営業のPDCA、回しているのに成約率が上がらない」

―― それ、「PDCAごっこ」かもしれません。

水平思考で解き明かす、成約率を劇的に変える5つの視点

 

 

はじめに:「努力しているのに売れない」の正体

「毎日足を運んでいる。提案書も作っている。PDCAも回している。なのに、成約率が一向に上がらない」――この悩みを抱える営業パーソンは、想像以上に多いのではないでしょうか。

実は、問題は「努力が足りない」ことではありません。問題は「PDCAの回し方そのもの」にあるのです。本記事では、従来の「真正面からの改善」ではなく、水平思考(ラテラルシンキング)で営業のPDCAを根本から見直し、成約率を劇的に変える方法をお伝えします。

水平思考とは、前提を疑い、角度を変え、「そもそも」から問い直す思考法です。

第1章:そのPDCA、「自分目線」だけで回していませんか?

症状:「行動量」だけをKPIにしてしまう

多くの営業組織で、PDCAの「P」は「今月は訪問件数を增やそう」「電話アポを100件にしよう」という「行動量の計画」にとどまっています。もちろん行動量は大切です。しかし、「数を打てば当たる」という前提そのものが、成約率を下げているのです。

水平思考の問い:「お客様の買う理由」を起点にしているか?

成約率が高い営業は、「自分が何を売るか」ではなく、「お客様がなぜ買うのか」から逆算しています。PDCAの「P」の時点で、「お客様の課題」「意思決定のプロセス」「比較検討の基準」を仮説として立て、それを検証するのが本当の「C」(検証)です。

具体策:「P」を「仮説プラン」に変える

• 訪問前に「この企業が買うとしたら、最大の障害は何か?」を考える

• 商談後に「仮説とのズレ」を記録する(← これが真の「C」)

• 「A」では「行動の改善」ではなく「仮説の更新」を行う

第2章:「失注」こそ最高の学習教材である

症状:「受注事例」ばかり共有している

営業会議で「今月の成功事例」を共有するのはよくある光景です。しかし、「なぜ失注したのか」を深く分析しているチームはどれだけあるでしょうか。「受注」には運やタイミングが含まれますが、「失注」には再現可能なパターンが隠れているのです。

水平思考の問い:「失敗を資産」にできているか?

「PDCAの「C」で振り返るべきは、「うまくいったこと」ではなく「お客様が『買わない』と決めた瞬間」です。その瞬間にこそ、成約率改善のヒントが集中しています。

具体策:「失注分析シート」を導入する

• 失注ごとに「お客様が最後に言った断り文句」を記録

• 月末に「断り文句のカテゴリ分析」を実施

• 最も多いカテゴリに対して、「次月の商談で先回りして潰す」施策を立てる

第3章:「提案」をやめて、「診断」せよ

症状:初回商談でいきなり解決策を話す

「弊社のサービスはこれができます」「この機能がおすすめです」――これは「提案」であって、「商談」ではありません。医者に例えれば、患者の話も聞かずに薬を出すようなものです。

水平思考の問い:「売る」前に「診断」しているか?

成約率が高い営業は、初回商談の80%を「聴くこと」に使っています。お客様が「この人は私の状況を理解してくれている」と感じた時点で、初めて「提案を聞きたい」という心理状態が生まれます。PDCAの「D」(実行)の質を変えるだけで、成約率は劇的に変わります。

具体策:「診断型商談」の3ステップ

① 現状質問:「今、一番困っているのはどんなことですか?」

② 影響質問:「それを放置すると、3ヶ月後にどうなりますか?」

③ 理想質問:「理想的には、どうなっていたいですか?」

→ この3つを聴いてから初めて「実は…」と解決策を提示する

第4章:「成約率」を分解せよ――「全体」を見るな

症状:「成約率」を一つの数字で管理している

「うちの成約率は15%だ」――この言い方には落とし穴があります。成約率を「一枚岩」として捉えている限り、具体的な打ち手は見えてきません。

水平思考の問い:「どの段階で」落ちているのか?

成約率をプロセスごとに分解すると、真のボトルネックが見えてきます。

1

アポ取り → 初回商談(転換率:30%)

「そもそも会ってもらえない」なら、アプローチのトークを見直す

 

2

初回商談 → 提案(転換率:50%)

「提案まで進まない」なら、診断型商談ができていない

 

3

提案 → 成約(転換率:30%)

「提案後に消える」なら、提案内容とフォローの質を改善する

 

具体策:「ファネル分析」でボトルネックを特定する

• 商談プロセスを段階別に分け、各段階の転換率を測定

• 最も「落ち」が大きい段階だけにPDCAを集中投下

• 「全体的に頑張る」のではなく、「ピンポイントで効く改善」をする

第5章:「商談後」が勝負を分ける――「PDCAのA」の盲点

症状:「A(改善)」が「次の商談をどうするか」になっている

多くの営業が「A」を「次の商談の改善」に当てますが、実は成約率に最も影響するのは「商談と商談の間」です。提案後のフォロー、追加情報の提供、「気にかけています」の触れ方――この「商談外」の行動が、お客様の意思決定を大きく左右します。

水平思考の問い:「PDCAのA」を「商談外」にも向けているか?

お客様は商談の席でだけ意思決定するわけではありません。社内での稟議、上司への説明、他社との比較――これらすべてが「商談外」で起こっています。「A」でやるべきは、「お客様が社内で売りやすい武器を渡す」ことです。

具体策:「お客様の社内営業」を支援する

• 提案後に「社内説明用の1ページ資料」を作成して渡す

• 「上司に聴かれそうな質問」を予測し、回答案を一緒に準備する

• 「導入事例(同業種・同規模)」を、比較検討の材料として渡す

まとめ:「成約率が上がるPDCA」5つの視点転換

No.

従来の発想

水平思考の視点転換

「P」を行動計画にする

「P」を仮説プランに変える

成功事例だけ共有する

失注分析を「C」の中心にする

初回から提案する

「診断型商談」で信頼を先に得る

成約率を一枚岩で見る

ファネル分析でボトルネックを特定

「A」を商談改善だけに使う

「A」でお客様の社内営業も支援する

おわりに:PDCAは「回す」のではなく「進化させる」もの

営業のPDCAは、同じ円をグルグル回るものではありません。「回すたびに仮説が進化する、上昇するスパイラル」であるべきです。

今日からできることは、たった一つだけです。

「次の商談で、『お客様が買わない理由』を一つだけ見つけて帰ってくる」

その一つの気づきが、あなたのPDCAを「成約率が上がるPDCA」に変える第一歩になります。

 

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